経営方針

コーポレートガバナンス

基本的な考え方

当社は、透明かつ公正な経営組織の確立、経営の重要事項に対する意思決定の迅速化、業務執行の監督機能の強化を通じて、企業の健全性と経営の効率性を向上させることが極めて重要であり、企業価値の向上に資するものと考えています。
この考えを実現していくことが役職員自らの責務であることを強く認識するとともに、法令および規律を遵守し、環境・社会問題に配慮しながら、自由な競争のもとで公正、透明、適正な取引を行い、株主、顧客、取引先、従業員、地域社会など全てのステークホルダーの信頼に応えるように行動します。
なお当社は、少人数の役職員で事業を運営しており、多数の従業員を有する大規模企業グループと比べると事業活動の情報収集および管理運営が比較的容易であることから、これに即した組織としています。また一方で、この組織の持つ機能が常に有効に発揮されるために、適切な人材を配置し、各部室や委員会など相互の緊張感が維持されるような運営を心掛けています。

コーポレートガバナンス体制図

各会議体および委員会の概要

名称 議長/
委員長
概要 回数
2023年3月期

取締役会

取締役会長

原則として月1回開催し、経営に関する重要事項の決定、職務執行状況の監督を行う。

11回

監査役会

常勤監査役

取締役の職務執行および当社の内部統制システムを監査するほか、四半期ごとの決算に関する事項および期末監査報告等について会計監査人から報告を受ける。

14回

経営会議

代表取締役

常勤役員および各担当部長が出席し、取締役会の決定した基本方針に基づき、業務の執行ならびに計画に関する報告および審議を行う。

11回

指名・
報酬委員会

社外取締役

経営陣の選解任など、人事事項の審議を行う。また経営陣の報酬に係る事項等を審議する。委員の過半数および委員長を独立社外取締役で構成。

3回

サステナビリティ委員会

代表取締役

社長を委員長として、サステナビリティ推進室員と各部から選ばれた複数の委員で構成される。委員会は定期的に開催され、活動内容を必要に応じて経営会議および取締役会に報告する。

6回

コンプライアンス委員会

担当執行役員

社長直轄の組織として、委員長と各部から選ばれた複数の委員で構成される。委員会は定期的に開催され、活動内容を社長、必要に応じて経営会議および取締役会に報告する。

4回

リスク管理委員会

担当執行役員

社長直轄の組織として、委員長と各部から選ばれた複数の委員で構成される。委員会は定期的に開催され、活動内容を社長、必要に応じて経営会議および取締役会に報告する。

5回

取締役および監査役の選任プロセス

取締役・監査役候補者については、各候補者の人格・識見・能力・経験・貢献期待などを総合的に判断して決定しており、特に高度な専門性を有する弁護士・会計士の資格保有者および経営経験者を社外役員として活用することによる監督機能強化の視点を重視しています。
取締役候補者については、代表取締役が案を作成し、指名・報酬委員会での審議結果の報告を踏まえて、取締役会で審議・決定します。
監査役候補者については、代表取締役が案を作成し、会社法の規定に従い監査役会の同意を得たうえで、取締役会で審議・決定します。
会長・社長の選解任については、指名・報酬委員会での審議を踏まえて取締役会で審議・決定いたします。
なお、指名・報酬委員会が会長・社長の解任事案等で必要と認めた時は、指名・報酬委員会の構成から社内取締役を除き、社外取締役および社外監査役の意見を求めたうえで取締役会に答申します。

役員一覧表(スキルマトリクス、各会議出席状況等)

氏名 指名・報酬委員会 性別 2023/3期
取締役会出席状況
在任期間 専門性
(◎は社外役員に特に期待する分野)
企業経営 財務会計 法務リスク管理 業界知見 建築 技術エネルギー

取締役会

南 浩一

常勤

男性

11/11

7年

若林 常夫

常勤

男性

11/11

2年

伊勢村 誠介

常勤

男性

11/11

3年

𠮷田 享司

社外

独立

男性

11/11

6年

野村 雅男

社外

独立

男性

11/11

4年

辻 卓史

社外

独立

男性

11/11

3年

竹田 千穂

社外

独立

女性

11/11

1年

監査役会

西田 滋

常勤

男性

11/11

4年

長澤 秀治

社外

独立

男性

11/11

2年

上條 英之

社外

独立

男性

9/9

1年

  1. 上記の一覧表は、各役員が有する全ての知見および経験を表すものではありません。
  2. 取締役 竹田千穂氏は就任前の3年間当社社外監査役を務めておりました。
  3. 監査役 西田滋氏は就任前の4年間当社取締役を務めておりました。

独立社外役員の独立性判断基準

当社は、コーポレートガバナンスにおいて客観性・透明性を確保するための社外役員の独立性に関する基準を以下の通り定めており、社外役員が以下の基準に該当しない場合に、独立性を有しているものと判断しています。

1

当社の主要な取引先※1またはその業務執行者※2

2

当社を主要な取引先とする者またはその業務執行者

3

当社の主要株主※3
(法人、組合等の団体である場合は、当該団体に所属する者)

4

当社が主要株主となっている法人の業務執行者

5

当社の会計監査人である監査法人に所属する者

6

当社から役員報酬以外に年間10百万円を超える金銭その他の財産を得ているコンサルタント、会計専門家または法律専門家
(※当該財産を得ている者が法律事務所、監査法人、コンサルティングファーム等の法人、組合等の団体の場合は、当該団体に所属する者)

7

当社から年間10百万円を超える寄付を受けている者(当該多額の寄付を受けている者が法人、組合等の団体の場合は、当該団体に所属する者)

8

当社との間で、役員の相互就任の関係にある先に所属する者

9

配偶者または2親等以内の親族が上記1から8までのいずれかに該当する者

10

過去3年間において、上記1から8までのいずれかに該当していた者

11

社外役員としての在任期間が通算で8年を経過している者

12

その他、一般株主との利益相反が生じるおそれがあり、独立した社外役員として職務を遂行できないと合理的に判断される事情を有している者

  1. 「 主要な取引先」とは、次に掲げる者をいう。
    1. 当社と取引があり、年間取引金額が双方いずれかにおいて連結売上高の2%以上である者
    2. 当社が借入をしている金融機関であって、借入残高が当社の連結総資産の2%以上である者
  2. 「業務執行者」とは、業務執行取締役、執行役および執行役員をいう。
  3. 「主要株主」とは、直近の事業年度末において、自己または他人の名義をもって議決権ベースで10%以上を保有する株主をいう。

指名・報酬委員会の活動状況

当社は、経営陣の人事・報酬に関する事項について客観性・透明性を確保することを目的として、独立社外取締役が委員の過半数を占め、うち1名を委員長とする指名・報酬委員会を設置しています。指名・報酬委員会は、以下の事項につき取締役会に先立って審議を行い、その結果を取締役会に報告しています。
指名・報酬委員会での審議事項は最終的に取締役会で決議されますが、当社取締役会は指名・報酬委員会の委員を兼ねる独立社外取締役が過半数を占めているため、委員会の独立性と権限は十分に確保されているものと考えています。

1. 経営陣幹部の人事に関する事項

  • 取締役候補者の選任および取締役の解任に関する株主総会議案
  • 取締役の選任に関する基本方針、規則および手続等の制定、変更、廃止
  • 代表取締役、取締役会長の選任および解任
  • 社長執行役員の後継
  • 執行役員の選任および解任
  • その他指名・報酬委員会が必要と認めた事項

2. 経営陣幹部の報酬に関する事項

  • 取締役・執行役員の個人別の報酬の内容
  • 取締役・執行役員の報酬に関する基本方針、規則および手続等の制定、変更、廃止
  • その他指名・報酬委員会が必要と認めた事項
委員会の名称

全委員

委員長
(議長)

開催回数
2023/3期

うち社内
取締役

うち社外
取締役

指名・
報酬委員会

6名

2名

4名

社外取締役

3回

役員報酬について

2023年3月期の役員報酬支給実績

区分 支給
人数
報酬の種類別の総額 報酬の総額
基本報酬 業績連動報酬 非金銭報酬

取締役

8名

133,890千円

16,064千円

33,353千円

183,307千円

うち社外取締役

5名

33,600千円

-

-

33,600千円

監査役

4名

40,800千円

-

-

40,800千円

うち社外監査役

3名

15,600千円

-

-

15,600千円

  1. 支給総額には、2022年6月21日開催の第99回定時株主総会終結の時をもって任期満了により退任した取締役1名および辞任した監査役1名を含んでいます。
  2. 上記のほか、使用人兼務取締役に対して使用人給与18,223千円を支給しています。

取締役報酬の決定方針

当社の取締役の報酬は、株主価値の持続的な向上を図るインセンティブとして十分に機能するよう株主利益と連動した報酬体系とし、個々の取締役の報酬の決定に際しては各職責を踏まえた適正な水準とすることを基本方針としています。
報酬の決定方針および個人別の報酬額については、委員の過半数を独立社外取締役が占める指名・報酬委員会での審議を経て取締役会にて決議しています。

報酬の内容

業務執行取締役

固定報酬としての基本報酬、業績連動報酬としての賞与、株主利益と連動した非金銭報酬としての譲渡制限付株式により構成いたします。個人別の報酬の割合については、長期経営計画目標の達成に向けて期待される役割に応じて上位の役位ほど業績連動報酬の比率が高まる構成とし、指名・報酬委員会において検討を行います。

取締役会長

取締役会長は直接的に業務を執行しませんが、取締役会の議長として中長期的な株主価値の向上に期待される役割を勘案し、その報酬は固定報酬としての基本報酬に加え非金銭報酬としての譲渡制限付株式により構成します。

社外取締役

その職務に鑑み基本報酬のみを支払います。

支給額のイメージ
※業績指標の達成度100%の場合

報酬の額

基本報酬

基本報酬は月例の固定報酬とし、当社の業績、各自の担当職務・能力・会社の持続的な成長への貢献度等を総合的に勘案して決定します。

賞与( 業績連動報酬)

業績連動報酬は業績評価指標を反映した現金報酬とし、毎年一定の時期に支給します。業績連動報酬の算定に用いる指標は長期経営計画で目標として掲げる「償却前事業利益」と「サステナビリティへの取り組み」の達成度とし、当社の持続的な企業価値向上とポートフォリオの拡充による企業規模の拡大・新たな収益モデルの創出を実現するために、両者を総合的に勘案のうえ算定します。

(参考) 償却前事業利益の実績と長期経営計画の最終年度目標(百万円)

2021/3 2022/3 2023/3 2033/3
(目標)

7,565

8,885

9,194

18,000

譲渡制限付株式

株主価値と連動した株式報酬として、対象となる取締役会長および業務執行取締役の担当職務・能力・会社の持続的な成長への貢献度等を総合的に勘案して算出された株数を、毎年一定の時期に付与します。

決定方法

個人別の報酬額については代表取締役が報酬案を作成し、指名・報酬委員会での審議結果を踏まえて、取締役会で審議・決定しています。なお、譲渡制限付株式報酬についても、指名・報酬委員会での審議結果を踏まえ、取締役会で個人別の割当株式数を決議しています。

政策保有株式

政策保有株式に関する方針

当社は、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資すると認められない株式保有は行いません。株式保有の意義については、個別銘柄ごとに、配当金・賃貸利益等の関連収益が資本コスト等に見合っているかなどの定量的な観点および取引関係などに係る定性的な観点を踏まえて、毎年取締役会において検証を行い、保有の意義が乏しいと判断される銘柄については売却を検討します。
その結果、コーポレートガバナンス・コードが施行された2015年以降で政策保有株式として保有する上場株式のうち6銘柄について全て売却し、2023年3月末時点の保有銘柄数は26銘柄となっています。また、2銘柄についても一部売却を行い、この間の売却総額は約114億円となっています。

政策保有株式に関する方針

2020年
3月期
2021年
3月期
2022年
3月期
2023年
3月期

期末の貸借対照表計上額
(百万円)

12,286

11,567

9,432

9,266

期中の売却額
(百万円

784

6,530

2,468

1,085

事業ポートフォリオに関する方針と見直しの状況

当社は、オフィスビル・データセンタービル・ウインズビル(場外勝馬投票券発売所)・商業施設・物流倉庫など多岐にわたり特色ある賃貸事業を基盤に、中長期的な視点での持続的成長を目指しています。新規投資にあたっては、地域分散や立地を重視した投資を行うことにより、景気変動や災害発生時の損失リスクを最小限に抑えるよう努めているほか、資産の入れ替えやバリューアップ投資等により、収益性低下の防止にも取り組んでいます。
現在の当社の経営戦略では、企業価値向上のための取り組みとして事業が生むキャッシュフローの最大化を優先的に位置づけていますが、利益ベースで資本コストを上回るリターンを実現することの重要性についても認識しており、毎年、取締役会において、事業ポートフォリオの検証を行っています。具体的な検証にあたっては、個別物件ごとに、資本コストと収益性の比較や投資回収期間などの定量面と、経営計画における投資方針との適合性や物件所在エリアの成長性といった定性面の両面から評価し、継続保有や建て替え、売却といった方針を見直しています。
こうしたポートフォリオの検証の結果も踏まえ、中長期的に資本コストを上回るリターンを実現し続けるには、資産の回転による収益の最大化と資本効率の向上が必要と認識しており、新たに策定した長期経営計画では、不動産賃貸事業に加えて資産回転型事業に取り組むことを通じた、資本効率の向上を掲げています。

取締役会の実効性の分析・評価

当社は、取締役会の実効性確保および企業価値の向上を目的として、2017年より取締役会による自己評価を実施しています。
2023年は、1〜2月に外部機関が取締役および監査役全員に質問する形でアンケートを行い、3月に外部機関による集計結果の報告を踏まえたディスカッションを実施しました。
その結果、取締役会の実効性については総じて肯定的な意見が得られ、昨年に課題として挙がっていた事項のうち、取締役会の場以外での社外役員間の意見交換の機会提供については、実際に機会を提供することで改善していることが確認されました。また、取締役会については、全体として適切に運営されているとの評価のもと、議題ごとの時間配分、業務執行報告の方法、社外役員間・社外役員と従業員間の意見交換に関し建設的な意見・提案がなされました。
他方、昨年に課題として挙がっていたサステナビリティへの取り組みに関する取締役会の監督機能については、さらなる充実が必要として、引き続き課題認識を共有しました。
当社は、今後とも、取締役会の実効性の分析・評価を定期的に実施することにより、取締役会の機能の向上に継続的に取り組んでいきます。

課題への取り組み状況

過去に指摘された課題 課題に対する取り組みの状況

取締役会の多様性

  • 独立社外取締役を段階的に増員し、取締役の過半数を独立社外取締役で構成
  • 女性役員を登用

より客観的な実効性評価の実施

  • 外部機関によるアンケート ・集計結果報告に基づく評価を毎年実施

経営計画に係る議論のさらなる活発化

  • 取締役会で経営計画の進捗や見直しにつき半年ごとに議題を設定し議論

取締役会の場以外での社外役員間の意見交換の機会提供

  • 取締役会の場以外で、社外役員間の意見交換の場を設定(年2回)

サステナビリティの取り組みに関する取締役会の監督強化

  • 取締役会においてサステナビリティに関する議題を定期的に設定、報告内容を拡充

株主との建設的な対話に関する方針

株主・投資家との対話は管理部門担当執行役員が担当しており、社内の各部署は建設的な対話の実現に向けて、必要な情報の提供など、随時連携を取りながら対応しています。
対話の機会としては、社長または管理部門担当執行役員が説明を行う会社説明会や個別のミーティングを設定しているほか、当社の経営戦略や事業環境に関する理解を深めていただくため、統合報告書をはじめとしたIR資料の発行や、当社ホームページ上での情報開示などを行っています。
対話の場で株主・投資家から寄せられた意見・要望などは、四半期ごとに取締役会に報告しているほか、対話記録も常に取締役・監査役の間で共有しています。これらの意見・要望は、対話のさらなる充実に役立てるとともに、経営陣および関連部署に適宜フィードバックすることで、経営戦略のレビュー等にも積極的に活用しています。
なお、決算発表前の期間は沈黙期間として株主との対話を制限しているほか、インサイダー情報については社内情報管理の徹底を図っています。重要事実に該当すると判断された情報については、管理部門担当執行役員が一元管理し漏洩を防止するとともに、開示が必要な情報に該当すると判断した場合には、直ちに情報開示を行っています。

2023年3月期の投資家との対話実施回数

対象 実施回数(延べ回数)

カバレッジアナリスト

12

国内機関投資家

16

海外機関投資家

14

個人投資家

3

45

対話の主なテーマや関心事項

テーマ・関心事項(2023年3月期)
  • 代表取締役社長の選定プロセス、就任後の期待役割と社内環境の変化
  • 不動産価格が高騰する中での新規投資の進捗、前経営計画の見直しの可能性
  • ROEをはじめとする資本効率の向上施策(自己株式の取得等)
  • 英文開示の拡充、和英の開示タイムラグ解消への取り組みの状況
  • 政策保有株式の縮減状況

対応状況

株主・投資家からの意見や提案を踏まえ、下記事項を実施しています。

実施事項
  • 資本効率の向上を意識した新経営計画の策定
  • 決算短信の和英同時開示や決算補足資料(FACT BOOK)の四半期ごとの開示
  • 会計監査を受けた英文財務報告書(アニュアルレポート)の作成

取締役・監査役に対するトレーニング

当社は、取締役会における適時適切な意思決定を通じて経営戦略の最適化を図るため、取締役・監査役に対して、事業環境に応じたテーマの研修や保有資産の視察等の機会を提供しています。特に新任の取締役および新任の監査役に対しては、外部機関も活用しながら、法令上の権限および義務等に関する研修を実施しており、これらの機会提供が適切に行われているかについても、毎年の取締役会実効性評価の際に検証しています。
2023年3月期は、当社物件の視察会(南青山土地、代々木公園ビル、府中ビル)のほか、サステナビリティをテーマとした研修会(不動産業界におけるESG課題と取り組み事例)を実施しました。

社外役員府中ビル視察

監査役、会計監査人、内部監査部門の連携状況

監査役は会計監査人から定期的に監査報告を受けているほか、会計基準・会計方針の変更や、その他当社の業績に重要な影響を与える可能性のある事項については、都度打ち合わせを実施することで情報共有を図っています。
監査役と内部監査部門の間では、毎月1回常勤監査役と監査室との連絡会を実施することで情報共有を図っているほか、監査役会においては四半期ごとに、監査室長から直接、内部監査報告が行われています。
このように監査役、会計監査人、内部監査部門が密に連携することを通して、監査の実効性向上に努めています。

リスクマネジメント

基本的な考え方

当社のリスクマネジメントは、経営方針の実現、企業活動を遂行するうえでの全てのリスクを可能な限り排除し、全てのステークホルダーの安全と利益を確保するとともに、緊急事態における速やかな対応、業務の早期復旧を図ることを目的としています。

リスクマネジメント推進体制

当社の事業を取り巻くリスクについては、リスク管理の手段や対応方針などの基本事項を「リスク管理規程」として定めており、この規程に基づき全社単位でのリスクマネジメントを行うため、社長直轄の全社横断的な組織として「リスク管理委員会」を設置しています。
委員会はリスクの統合管理や対応方針の取りまとめ、BCPの維持・更新といった事項を所管し、定期的に開催したうえで活動内容を社長に報告するほか、必要に応じて経営会議および取締役会への報告も行っています。
また、サステナビリティ課題に関するリスクの識別・評価・管理プロセスについては、サステナビリティ委員会との間で共有することで、全社単位でのリスク管理体制の統合を図っています。

コンプライアンス推進体制

コンプライアンス委員会

法令などの社会規範および社内規程などの社内規範を遵守し、健全な社風を維持・向上させるため、社長直轄の全社横断的な組織として「コンプライアンス委員会」を設置しています。委員会は定期的に開催し活動内容を社長に報告するほか、必要に応じて経営会議および取締役会に報告しています。
委員会はコンプライアンス確保のための「行動基準」の策定、コンプライアンス施策の実施状況の把握・調査、コンプライアンス違反行為に対する再発防止策の策定等を所管しています。また、社内勉強会等を通じて、全ての階層の従業員に対してコンプライアンス教育・研修を実施しています。

コンプライアンス体制図

社内報告制度

コンプライアンス違反行為などの報告・相談を受けつけるため「社内報告相談制度」を設け、従業員等からの報告・相談を受けつけています。窓口は社内のほかに外部弁護士事務所を指定し、報告相談者への不利益な取扱いを一切禁じ、報告相談者の職務環境が悪化することのないよう、適切な措置を講じることとしています。また、担当執行役員による定期的な取締役会への報告を通して、取締役会は制度の運用状況を監督しています。

監査室

監査室はコンプライアンス委員会とは別に、コンプライアンスの状況について適宜監査を実施し、その結果を社長およびコンプライアンス委員会、必要に応じて経営会議および取締役会に報告しています。

個人情報の保護

当社は、適法かつ公正な手段により個人情報を取得し、事業活動や株主権の行使・義務の履行など、業務上必要な範囲でのみ利用します。取得した個人情報は当社が定めた規程に則り厳正かつ安全に管理し、外部からの不正アクセスや、個人情報の漏えい、紛失、改ざん等に対しても、必要かつ合理的な対策を行っています。また、個人情報の取り扱いを当社以外の企業に委託する場合には、委託先による個人情報の取り扱いについても厳正に監督・管理しています。

主要リスクへの取り組み

分類 リスクの内容 リスクへの対応状況

営業リスク

土地建物
賃貸事業

  • 景気動向、企業業績、ビルの需給動向の影響を受け、賃料の低下や空室率上昇が当社の業績に影響する可能性
  • 不動産取得時の多額の不動産取得税や登録免許税の費用計上による大幅な業績変動
  • 多様なアセットタイプでの事業展開により、市況変動の影響を低減

地域集中

  • 物件が関西圏(特に大阪府)に集中しており、大阪地区での大規模災害、需給動向の影響を大きく受ける可能性
  • 首都圏を中心に関西圏外での投資を推進し、地域集中リスクを低減

特定の取引先への依存

  • 売上依存度10%超の取引先が3社あり、 各社の動向が当社の業績に影響する可能性
  • 新規物件の開発や取得を通じてテナントを多様化
  • 適切なサービス提供やリレーション強化を通じて大口テナントの退去リスクを低減、賃料水準を維持・改善

資源価格の変動

  • 電気料金の値上げによる運営コスト増加
  • 建築資材の値上げによる開発コスト増加
  • リスク回避は困難であるものの、情報を適切に収集し影響を開示

災害リスク

自然災害、人的災害

  • 顧客、建物や設備が被害を受け、業績および財政状態に影響( 大規模な地震、風水害等の自然災害、火災、テロ等の人的災害)
  • BCP対応ビルへのリニューアル
  • BCP策定と訓練によるレジリエンス強化

感染症の拡大

  • 新型感染症の拡大による、経済情勢の悪化と業績への影響
  • 少人数経営の弊害として、社内での感染拡大により事業活動に支障が出る可能性
  • 飲食業や小売業等に偏重しないポートフォリオを構築
  • 在宅勤務やフレックスタイム制など柔軟な働き方の促進により、従業員の健康と安全を維持

気候変動
リスク

移行
リスク

  • 省エネ規制の強化や炭素税の導入による対応コスト、税負担の増加
  • 省エネ推進の強化
  • 再生可能エネルギーの導入

物理的
リスク

  • 風水害の激甚化により顧客、建物や設備が被害を受け、業績および財政状態に影響
  • 重要設備の上層階への移設や防潮板の設置による浸水リスク低減
  • 予防保全とBCPの策定・訓練によるレジリエンス強化

財務リスク

資産価格の
変動

  • 保有資産(土地・建物・有価証券等)の時価下落による減損損失の計上
  • 物件の入れ替えやバリューアップ等により、収益性低下を防止
  • 投資有価証券は毎年取締役会で個別銘柄ごとに保有意義を検証し、保有意義の乏しい銘柄は売却

有利子負債への依存

  • 有利子負債の金利上昇
  • 低金利環境を活かした金利の低減・固定化
  • 平均返済期間の長期化

法令、
税制の変更

  • 不動産や建築に関する法令や条例変更による、土地建物賃貸事業、ビル管理事業の業務遂行上の規制、業績への影響
  • 税制や会計制度変更による、当社の業績や財政状態への影響
  • リスク回避は困難であるものの、関連する法令や税制、会計制度の情報を適切に収集し影響を開示

コンプライアンスリスク

法令等への違反行為

  • コンプライアンス違反行為による社会的信用の失墜、事業活動の制約
  • 各部よりコンプライアンス委員を選出し、各部における取り組みの状況を定期的に検証
  • コンプライアンス委員会を活用し、研修会の開催などを通じて法令等の遵守について周知徹底

情報リスク

情報セキュリティ

  • 従業員による紛失、改ざん
  • 外部からの不正アクセスなどによる、企業活動や業務に関する情報、個人情報の漏洩
  • 社内システムへのサイバー攻撃による、業務遂行への影響
  • 社内規制の整備による、従業員のコンプライアンス意識の向上
  • 個人情報の取扱委託先に、個人情報の利用目的や取り扱いについて開示請求、委託先を厳正に管理、監督
  • 情報セキュリティの管理体制を整備